ご購入店訪問で気づいたBtoCのものづくりに必要なコト

ご存知のように小さなステンレス加工屋であるわが社は、
ここ30年ほどはいわゆるBtoBのカタチでものづくりをしてきました。

しかし60年余り前に亡き父が創業した当初は、周りの人びとからの
「こういうものが欲しいから作って」という要望を、父がさまざまな
アイデアを取り入れたものづくりで応えて解決していたようです。
「増田さん、便利になってよかったよ」と喜んでくれるお客さんの横で
嬉しそうに目を細める父を見ながら、子供心にカッコいい!と思っていました。

BtoCのカタチでお客さまによろこんでいただくことは、
いわば弊社の原点でもあったんですね。

それが個人商店から株式会社へと変わり、年月が経つにつれ
BtoBのステンレス加工のお仕事がだんだん増えていったわけです。
その中では自分たちが「あんなものや こんなものをつくってみたい!」
と思っても、提案が通らなかったりどこに売っていいかわからなかったり、
自分たちの発想を形にすることはもはや難しいことだと思い込んでいました。

炭火つるし焼豚釜

でも、数年前に地元のお肉屋さんの焼豚釜を修理させていただいたことがきっかけで、
プロ向けの炭火つるし焼豚釜を製造させていただくことになり、
ネットで直売サイトを開設して全国の精肉店さんや飲食店さんから
お問い合わせをいただくようになってから、ほんの少し仕事の流れが変わりました。

もともと精肉店さん向けの焼豚釜だと思い込んで製作した商品は、
長年伝統ある釜で焼豚を焼いてきた精肉店さんに喜んでもらえたのはもちろんですが、
意外なことにチャーシューを吊るし焼きしたいと思っていた
全国のラーメン店や飲食店さんはじめ様々な業種のお店からも
「どんなふうに焼けますか?」「ガスで焼く釜もありますか?」
と声をかけていただけるようになりました。

特定のお客さまに喜んでもらおうと思って製作したものが、
それ以外のお客さまにも喜んでもらえるということがわかってから、
弊社のものづくりの幅は格段に広がり、社員のモチベーションもアップしました。

「コレは自分のやることじゃない」「アレはうちではできるわけない」と、
自分たちで自分たちの枠をつくっていたとも言えますが、
その勝手につくった枠をはずすために必要だったのは、
製作したものを自分たちで売ることができる環境を整えること。
「枠を外せる環境つくり」が大切だったと今は思います。

会社の人とお金を使ってやるからには売る努力もしなければ。
好きなモノをつくるだけなら趣味になっちゃいますもんね。

炭火つるし焼豚釜
先日納品させていただいた都内ラーメン店さんの厨房で再会した「娘」。
立派な厨房におかれた特注ガス釜を見て、感無量でした。

見る人によってこの焼豚釜の価値は異なるとは思いますが、
プロフェッショナルが求める焼き上がりは、この釜構造ならではだと考えます。
さすがプロが惚れ込むつるし焼き釜!と焼き手の皆様に認識してもらえる商品にしたい。

この釜を手にした人が どんな価値を見出してくれるのか?
どんな焼豚チャーシューを焼いてくれるのか?
それを楽しみにしつつ、焼く人にも食べた人にも喜んでもらえる焼豚釜つくりに励みます。

Follow me!